恋心ミルフィーユ

恋心ミルフィーユ

ツイッターじゃ吐ききれない妄言をまとめていくよ

ニーゴのこれまでを振り返りつつ、未来のことを考えていきたい

どうもこんにちは、恋心ミルフィーユです。

『仮面の私にさよならを』をもって、ついにニーゴの進級前イベントが(おそらく)全て終わりましたね。メインストーリーからずっと苦しんでいたまふゆの想いもついに吐き出され、進級前に物語もついにひと段落…

してない!全然してない!

親子間のディスコミュニケーション、相互不理解、亀裂が大きくなっただけの今回のイベントでは次の展開が全く想像ができません…。とはいえ話自体が大きく進み、次からが新章となることも事実。ということで、これまでのシナリオやキャラクターを私なりに振り返っていきながら、ニーゴのこれまでとこれからを考えていきたいと思います。

ちなみにニーゴのメインシナリオ、最初のキャラクター像に関してはこちらに書いてるので暇なときに是非読んでね。

 

奏について

ニーゴ、メインシナリオを読んだ段階で抱いた感情、というか感じたコンセプトが「現実社会で息ができない人たちが集まって互いに補い支え合う物語」というものでした。ノンブレス・オブリージュ的に言えば『君と防空壕で呼吸する』。世界が自分たち4人だけでもいい、社会とか周囲の問題とか関係なく、抱える思いに殺されず息ができるように。

でも実際にはそうではなくて、セカイを通して4人がインターネットだけでなく外でも会うようになり、他人との交友も増えていき、そして見える世界がどんどん広がっていく。ニーゴの物語は4人だけで完結するのでなく、自分自身の問題にけじめをつけつつ防空壕の中だけでなく青空の下で呼吸できるようになるための物語なんだなぁって今なら思えます。

 

特にそれが顕著に表れているのが奏ですね。最初は親を殺してしまった罪悪感から引きこもりとなり、何かに憑りつかれたかのように音楽を投稿し誰かを救うことを贖罪としている。でもニーゴのみんなと実際に会い、そしてまふゆの思いに触れることで誰かを救うという事の具体的な使命を見つけて、どんどんとその執念に近い呪いが解かれていく。

特にその奏の解放という意味で重要だったイベントこそカーネーション・リコレクション』だったなぁと。楽しかった過去の思い出も辛かったものとして無理やり蓋をして閉じ込めていたけど、瑞希の背負っている思いを通して段々と心の壁が崩れていって。近いようで遠いようで近い、そんなニーゴを通した関係性だからこそ描けたシナリオでしたね。瑞希自身の一歩にも繋がるめちゃくちゃ好きなイベント!

奏自身としてはそこで辛い過去から解放されたことで次からのシナリオではまふゆを救うことに尽力するようになり、自分の母親から受けた愛情との差を理解できるからこそ『イミシブル・ディスコード』ではついにあの母親とも対峙できるようになっていく。まふゆが逃げた先として奏を選んだけど、次からどうなっていくんだろう…。本当にわからない。

 

絵名について

そんな奏と真逆なのが絵名。才能故に親を殺してしまった奏と、才能が無いために親に殺された絵名。絵名は才能が無い…というにはちょっと違うような気もするというか、親の才能を遺伝してると思い込んでただけだと私は解釈してるけど、実際最近は絵画教室に通ってそこら辺の描写も増えてきてるよね。

絵名の物語としては絵画教室に通うような展開になるとは予想してなかったので、結構私的にはびっくり!絵名って自分の絵が評価されないこと、そしてテキトーな自撮りが評価されてしまうことがユニストで描かれていたので、その扱われ方による心の差を上手く埋めるような展開になると思ってました。上手いとか評価とか関係なく、「ニーゴの絵師」として認めてられ自分自身も認めていくみたいな。

でもそんなことはなくて、プライドも全部捨ててむしろ真正面から立ち向かって。過去を過去で終わらせない、そういう強さこそ絵名なんだなぁと。画家としての将来を考えているというよりはそれこそニーゴのため、そして自分自身のためではあるんだけど、この絵画教室を通しての人間的な成長が見れたらいいなぁ。

 

絵名は自分自身が持っていない側の人間だと気づいてるからこそ、弱ってる人や劣等感を抱える人にはしっかりと手を差し伸べられる子なんだよね。そういうところが好き。ニーゴって全員性格が全然違うからこそ上手く成り立ってるもんね。

気が強い…という表現が正しいのかはわからないけど、傷つくことを恐れずに行動できるところがやっぱりすごくて、相手を傷つけてしまうかもしれない…と立ち止まってしまう奏や瑞希たちを置いて突き進むことが出来る。それがいいのかどうかは時と場合によるけど、ユニストでまふゆを救うきっかけを作ったことは確かだし、瑞希の悩みを真正面から向き合うことができたのも絵名だからだし、今後まふゆ母と戦う展開になったときはきっちりと思いを伝えてくれそうだなぁ。

 

瑞希について

突進力のある絵名と違って、瑞希はその逆だよね。どこまでも寄り添う。前進を促すこともせずただただ寄り添う。そうやって相手の気持ちを否定せずに尽くせるのはきっと瑞希がどうしようもなかったときお姉さんに「自分の好きを無理に捨てないでいいんだよ」と助けてもらったからなのかなぁ。八方塞がりな人の気持ちをわかってあげることができる、隣にいてくれる、それが瑞希の優しさ。

瑞希の物語は時期によってかなりテーマが変わっていましたね。ユニストの時点では誰にも自分のことを理解してもらえない、ニーゴにしか居場所がないという苦痛がメインで描かれていたけど、文化祭ではそんな瑞希のことを肯定してくれる仲間の存在に気づくことができて。そしてインターネットだけの関係ではなくなったニーゴに自身の秘密を伝えるべきか悩み、絵名を待たせるという形ではあるけど問題にも一区切りついて。と、一つ解決するたびに一つ問題が起きる。

でもその問題に悩みながらも向かい合った結果自分の居場所が増えて、お友達も増えて、瑞希の周りが豊かになっていく。今後ももっと大きな問題が生まれてきそうで胃がキリキリだけど、瑞希なら、みんなならきっと大丈夫。

 

秘密を言わなくてもいい、言いたくなるまで待つと絵名に言ってもらえたからこそ、どうしようもなくなったまふゆに対して「逃げることが必要なときもある」っていう言葉をかけれたんだろうなぁ。もちろん絵名に対してのことは逃げではないけど、真正面からぶつかることが全てではない、結論を出すことが絶対ではない、そうやって選択肢を増やして視野を広げることができるのは瑞希だからだよね。

ただ瑞希に関してはお姉ちゃんの言葉で救われたけど、その後に高校で自分らしさを出した結果不登校になっているという事実もあるわけで。誰かのために動くことには必死になれるけど、自分自身を理解してもらおうと動くことに関してはどこか諦めてる節もあるのかなぁと。その割り切り方、達観した姿は大人っぽくは見えるけど、瑞希の弱いところでもあるから、先の展開に対してちょっと不安ではあります。

先にも言ったとおり居場所が増えお友達が増えた今ならきっと大丈夫だけど、その問題が「周りを巻き込む事態」になったときにむしろ足枷のように働く、勝手に瑞希がそう解釈してしまわないかがね…。弱くて脆い。そんなただの一人の人間だから。

 

まふゆについて

ここまで散々語ってきたわけですが、まふゆに関しては、書くのが本当に難しい…!まふゆ自体が自分の気持ちや心をまだ探している途中で、ニーゴのみんなやミクさんたちと過ごす中で色々な気持ちに気づいてはいるけど、まだまだ何もわからないから。

自分がどうしたらいいのかわからない、何をしたらいいのかわからない、だけどこの母親に囚われた状態から抜け出さなきゃいけない。母親から受け取った愛情を否定することはできず、だからこそ苦しんでる。優等生としての仮面がこべりついてしまったから故に人格が壊されてしまったわけだけど、壊れた今回のイベントの後で何が起きるのかは今はまだわからないよね…。

個人的にまふゆはどこまでも無表情だから何も読めなかったんだけど、「この町に夕闇色も」で見せた子どもへの対応がやっぱり印象的だったなぁ。愛想は無いけど、対処は適切で、そして子どもが元気になることを第一に考えている。お医者さんじゃない、より近くで支えたいという気持ちが前に出てるこの姿こそ、まふゆの本当に追いかけたい夢なんだろうなぁ。

 

そしてまふゆを語るうえでは欠かせないのが、まふゆの母。まふゆの生みの親であり、まふゆを殺した張本人。

まふゆの母に関しては本当に価値観が凝り固まっているというか、まふゆへの愛とまふゆへの支配が混在して自身でも見分けがついていないんじゃないかなぁと思います。故に悪意はないし、だからこそ厄介。いい大学に行くこと、社会的に位の高い職業につくことこそが幸せだと信じて疑わない。そしてその道をまふゆにも通ってほしい、むしろ頑丈なレールを引いて絶対に外れないようにする。この思いこそがまふゆを苦しめているのに…。

毒親というのは簡単。でも私としてはそうではなくもっと根深い、まふゆの母にもある種の呪いがかかっているように「仮面の私にさよならを」では感じました。

 

"普通"という名の暴力

まふゆの母、人生の成功者なんですよね。おそらくまふゆ母も、親に同じように言われ、同じように敷かれたレールの上を進み、そして勝ってきた。

いい大学に進み、社会的にいいとされる仕事につき、おそらくはその流れで結婚し、裕福な家庭と立派な娘をもって、"普通"の価値観における幸せを手に入れている。引かれたレールの上を進んでいるときもまふゆと同じように悩むことはや辛いことあったのかもしれないけど、実際にそのレールが成功につながっていたという確信を持っているからこそ、こうやって強気になってしまっているのではないかなぁと。そういう生き方しか知らないから。

そして、そのレールから外れた人のことも見てきている。勉強を疎かにした者、刹那的な快楽を優先した者、自らの意志でレールから降りた者、そういう人たちを見てきて、そして見下してきた。社会的地位や金銭的裕福な生活を一番に考えている節があるため、それこそが幸せのボーダーラインであると信じて疑わないのかなと。幸せなんて、絶対的な指針なんてないのに。

 

同じ物語でも視点によって怪物は変わってくる。まふゆやニーゴのみんなから見た母親はまふゆを殺す怪物のように映っているけど、まふゆの母からしたらそんな奏たちこそ娘の人生を殺そうとする怪物のように映っている。

実際そう思われても仕方ないのかもしれません。娘の成績が落ちていき、嘘をつかれ、原因を探ってみると奏たちのナイトコードが出てくる。そしてそんな娘を問い詰めると「医者にならない!でも勉強は頑張るからスマホだけは返して!」って言われても、まあ混乱してしまうのは仕方ないよなぁと…。母親なんだから察しろと言いたくなる気持ちもあるけど、今まで気持ちを全て隠していたのはまふゆなんだし、それでも察しろというのはあまりにも無茶。親と子と言っても所詮は他人ですから。

まふゆの母親が求める付き合うべき人間、それとニーゴのメンバーは真逆ですからね。高校に行かず音楽を作る引きこもり、夢破れ一度は筆を折った者、社会の提示する"普通"を背負いきれなかった不登校児、文字だけで説明するとおおよそ社会的な模範とはなり得ない人たちですから。でもそんなことは重要じゃない。大切なのは社会的地位ではなくてまふゆに寄り添える気持ち。このような3人だからこそまふゆと正面を向いて話すことができたし、まふゆに居場所を作ってあげることができた。

もしこの母親と戦うのだとしたら、愚直にまっすぐにでも向き合うしかないのかなぁ。幸せの形、一般的な正解を求めることがまふゆの正解というわけではないということ、まふゆの将来を考えることは確かに大事だが、まふゆは"今"苦しんでいる。それを気づかせて呪いを解かなければいけないです。

 

これからのニーゴ

4人で支え合うことで、奏は、絵名は、瑞希は、救われることができた。だからこそ、まふゆのことを絶対に救い出さなくてはいけない。進級してからのテーマとしてはより本格的にまふゆを救うための物語になっていくのかなぁ。そしてその対決を通してマジョリティvsマイノリティのような構図にもなってきそうで…。

逃げて絶縁するのが一番。でも簡単に絶縁するなんて言えない。所詮は子どもであり、高校の学費だって出してもらってる身。ニーゴなら広告収入などで金銭的工面はどうにかなるのかもしれないが、18歳未満である以上どうにもならないことも多いから。卒業するまで待てるような状態でもないし、あの母親に対してこれ以上の刺激もしたくない。かなり難しい状態ですからね。今後どういう落としどころになっていくかはすごく楽しみです。

 

プロセカのシナリオは度々過去改変が行われており「14階で泣いてないでシナリオちゃんとしろ!」と言いたくなることは確かに多いですが、根底に関わることに関しては(少なくともシナリオ班は)ちゃんとしているので、信頼はしています。

奏はきちんとあの母親と対峙できるのかな…。まふゆはちゃんと思いを伝えて次こそは受け取ってもらえるかな…。絵名もより自分自身の絵と向き合ってパパと話せるようになるかな…。そして瑞希は…幸せになって…本当に…。

 

まふゆがメインで進められているから埋もれがちだけど、瑞希も絵名を待たせたままだからね。もちろんそれでもいいし、私としては一生待たせててほしいとは思ってます。秘密を打ち明けることだけが全てじゃないですから。

でもそれで終わり!で済む問題でもないし、悪意ある人間のアウティングによって全てが壊れる可能性もある。その危険性は学年が進んでも常に付きまとうわけだし、何もないなんて言いきれないのが本当に怖くて…。

どうなるのかわからないけど私はニーゴの物語はまふゆだけじゃなく全員の救いの物語であると信じています。私一個人としては見守ることしかできませんが、精一杯見守っていきたいです。