『未解決事件は終わらせないといけないから』クリアしました。
タイトルの通り、未解決事件を解決に導くという話。私自身は「女児失踪の事件を追う」ということ以外は本当に何も知らないまま始めたので、色々な意味で驚かされました。
そして、プレイ出来て本当に良かった…。ネタバレもなく、そして集中して遊ぶことができて本当によかったです。プレイ時間自体は3時間とかなり短かった(人によっては1時間で終わるかもしれないし何日もかかるかもしれない)ですが、その3時間がすごく濃厚で、1本の映画を観終わったときの高揚感というか放心が、すごく心地良い。
以下ネタバレ無しの感想を書いていきます。でも本当は
こんな文を読むのやめて先入観無しでとりあえずプレイして!
考えることも多く、そして取り扱っている事件が事件なだけに少々重く、怖いと思う人もいるかもしれない作品ですが、是非この未解決事件を終わらせてください。
ちなみにsteamでプレイできます。switchで配信されたと聞いて気になった作品でしたが、まあswitchで配信されてなかったね!?9月19日発売らしいです。今すぐ予約して。
ネタバレ無しの感想
「この事件、初めて接したときにすごく驚いた覚えがあります。誰もがそれぞれの理由で嘘をついてました。」
2012年2月5日、公園で遊んでいた少女・犀華が行方不明になったという通報があった。
警察は聞き込みと捜索を繰り返すが、事件は解決せずに未解決事件の書類ファイルに眠る。
清崎蒼警部の退職から12年後、ある日訪ねてきた若い警官。
彼女は清崎が解決できなかった「犀華ちゃん行方不明事件」を終わらせるよう協力を要請してきた。
清崎はバラバラになった記憶のかけらを思い出して再構成するが、明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ。
ということでネタバレ無しの感想から。
とまあネタバレ無しとは言ったものの、どこからがネタバレでどこからがネタバレじゃないのかはすごく難しい作品です。私自身どのようなゲームシステムなのかさえ知らずにプレイしたわけですから…。本当は同じように何も知らずにプレイして、そのゲーム性に困惑し頭を抱えてほしいです。
なのでここでのネタバレとはニンテンドーストアの紹介ページで語られていることをネタバレ無しと定義して話をしていきます。よろしくお願いします。画像もそこから引用していきます。
独特なゲーム性
この物語は、かつてこの未解決事件を追っていたが解決に導くことが出来ず定年退職した清崎蒼さんと、そんな蒼さんの前に現れた若い警官の2人の会話劇で進んでいきます。
解決できなかった悲しみでネガティブになってしまう蒼さんと、そんな蒼さんを元気づける警官。そんな2人の会話を聞きながら選択肢を選んでいくゲームなのかなと最初は思っていたのですが、目の前に現れたのは
なんかやべータイムライン!
このゲーム、2人の会話を聞きながら時折選択肢を選ぶADVじゃありません。街を練り歩きながら証拠を証言を集め事件解決に勤しむ逆転裁判でもありません。蒼さんの記憶を整頓していくゲームです。
事件を解決するためには、誰がその時どこにいたのか、どういうことを考えていたのか、それらを全て明らかにする必要があります。しかし記憶というのは酷く曖昧であり、ぐちゃぐちゃ。色々とボケている蒼さんの記憶には信憑性がなく、何が正しいのかわからない。1つの発言でも誰がどのタイミングで放った言葉かが変わるだけで、言葉の意味も全く変わっていきます。
例えば先ほどのTLの一部。英語教師の人が「私がやりました」と供述しています。
言葉通りに受け取ると「あーこの人が犯人なんだね一件落着!」となるわけですが、それではなぜこの事件が未解決になっているのでしょうか?そもそもこの発言は本当に英語教師の放った言葉なのでしょうか?文の前後はどのようになっているのでしょうか?
「この事件、初めて接したときにすごく驚いた覚えがあります。誰もがそれぞれの理由で嘘をついてました。」
誰がどのような意図でどのような嘘をついたのか、それは物語を進めていかないとわかりません。蒼さんの記憶が本当にこんがらがっているため、発言一つ一つにまるで信憑性が無いせいか序盤はかなり手ごたえがなく、まるで霞を掴んでいるかのような感覚に陥ります。
「あれ?この発言をしているのが○○なら××は噛み合わなくて…」「じゃあ××はつまり△△の発言で…」「でもそうなると時系列が…」「いやそもそも□□が♦♦なのは…!?」と脳が3つあっても足りない。一度寝たら多分全部忘れてしまうこの不安定さ。是非とも味わってみてください。
1度しか体験できない感覚
このゲーム、決まった道筋なんてものはありません。
情報の出され方はもちろんゲーム側である程度は制御できているにしても、人によってはすぐ事件の真相に気づくかもしれません。ですが逆に、何も掴めず云々と頭を苦しませる人もいると思います。ちなみに私は圧倒的後者です。『鈍感』を絵にかいたような人間なので…。
ADVだからと甘く見ることなかれ。次はどこに行こう何をどうしようと親切にヒントをくれるゲームじゃないです。物語も1本ではないです。自分自身がどう捉えるか、この人たちの発言をどう受け取るかで見える世界は変わります。私は私なりのプレイでクリアしましたが、それと同じ道筋をたどる人はおそらくいないでしょう。
プレイ感覚としては7Days to End with Youと似たようなものとなっています。
最初は何もわからないけれど、手探りでどんどん物語がつかめていき、次第に点と点が繋がっていく。こちらのゲームは本当に難しく片手間で出来るようなモノではありませんが、もしやったことが無ければ一度は手に取ってもらいたい作品となっています。
何が言いたいのかというと、
本当にキツいけど絶対に攻略は調べるな!!!
あなただけの物語を紡いでほしいんです。『事件の結論』自体は確かにあるものの、そこに至るまでの過程、模索し悩む時間や、誰を軸にタイムラインを組み立てていくかなどは千差万別であり、かけがえのない時間だから。
困ったら総当たりも出来る仕組みにはなっているので、詰みそうで詰まないです。私も実際やったし、ごり押し…。でも攻略を見るのだけは絶対にやめてくださいね。あなただけの物語に他者を介入させないであげてください。
おわりに
最近『蛇の道』という女児誘拐殺人の映画を観たこともあって、この作品がどのような物語になるのか想像もつきませんでした。蛇の道、私が観たのはこの新作リメイクではなく旧作の方ですが、すごい物語でしたから…。
善の物語なのか、それとも悪の物語なのか、喜劇なのか悲劇なのか。サスペンスなのかホラーなのか、はたまたキャラゲーとして明るいものなのか。何も知らないからこそ120%楽しむことが出来ました。そしてこの私の文を読んだあなたは、私の文字のせいで同じようには体験できなくなりましたね。悲しい。
出来る限りプレイしてどのような感情になったのかは出さないように文字を書いたつもりですが、きっと何かしらは溢れているでしょう。私は隠すのが苦手だし隠せていないことにも気づけない鈍感だから。ですがそんな鈍感でもきちんと物語を咀嚼し考えることができる。そんな作品なので、気軽に手に取ってもらいたいです。気軽に手に取りやすい内容では無いけどね。
是非あなたの手で、未解決事件を終わらせてあげてください。
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